アレを観る
最近、徹夜仕事が続いたせいで、横になったら2分で熟睡の私が珍しく寝つけなくなった。
酒ロックにライムをたらした酒ライムを飲む。すぐホロ酔いとなる。
ホロ酔いついでに、思い切ってアレを観ることにした。シラフでは決して観られない、アレ。あの映画。
『カッコーの巣の上で』
なぜシラフだと観られないのか。あいつの言動にやり場のない怒りを覚えすぎてしまうのだ。それで、いつも途中でテレビのスイッチを切っちゃう。
あいつ。
あんなに人の心をいとも簡単にズタズタにする人間を見たことがない。ひどいよ。やりきれないって! ルイーズ・フレッチャーそのものが憎くなる。さすがオスカー主演女優賞。
でも、ホロ酔いならきっと大丈夫。「これ、映画だから。虚構の世界だから。気楽に観ようぜ。イカげそでも食べながら」。あえて鼻歌を歌いながら、DVDをセットした。
30分後。テレビのスイッチを押した。
ああ、ダメだ。やっぱり耐えられない。このけだるい絶望をどうしたらいいのか。恐るべしアメリカン・ニューシネマ。
真っ暗な画面に、ルイーズ・フレッチャーの顔が浮かんできたような気がした。あんた、ひどすぎるよ。
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